英作文する際に気を付けるポイント5選

Daisuke Maki
Sep 6, 2022

自分は英語・日本語ネイティブ話者であり、英語に関しては高等教育中に少なくとも基本的な文章の書き方・プレゼンテーションの仕方は体形的に学んでいます。大学では技術方面の専攻だったせいでいわゆるテクニカルライティング的な授業も基本的なところから学んでいます。

そういう背景もあるため、仕事で英語のドキュメントを添削する機会がこれまでたくさんありました。

この記事ではこれまで色々見てきたドキュメントの中で「これだけ気を付ければ英文を書くのが得意じゃなくてもぐっとよくなるのに…」という点を書き出してみました。

期待している読者層としてはこれから英語を習うというレベルではなく、すでになんらかの形で仕事向けの報告書、プレゼンテーション、公開記事等でまとまった英語を書く必要があって、翻訳サービスや辞書を使いながらある一定レベルで一応英語書けるつもりの人です。

英作文をしてみたものの、「なんか書くときに迷う…」「できあがった文章に納得いかないんだよなぁ…」みたいな人がより簡単に、よりわかりやすい文章を書けるようになる手助けになればうれしいです。

以下を読む前に:それぞれの見出しについて「(できれば)」が付くと思って読んでください。なぜならそれぞれ使ってもいい場合もあり、さらに言えばその書き方が必要な場合もあるからです。これらは絶対的なルールではなく、一般的にこのほうがやりやすいので意識するといいよ、というレベルのものです。

また今回紹介しているtipsはあくまで英作文がそれほど得意ではない人に向けて、より悩まずに英文を書くためのものなので、ちゃんとした使い方を知っている人は当然これらのルールに縛られる必要はないと思います!

tl;dr:

  • 話者を統一しよう
  • 時制を統一しよう
  • 能動態を使おう
  • ひとつのセンテンスにはひとつの事柄を書こう
  • シンプルな文章を書こう

話者を統一しよう

日本語の文章を書く際にはかなりの割合で「私は~」や「我々が~」等のSVOのSにあたる代名詞を省略しても問題ないことがあります。これをベースに英語にすると、日本語的にはこの代名詞を”I”にしても”We”にしても特に違和感がないことが多いのですが、英文を書く際は文書中の話者は統一しましょう。

つまり、”I’m writing this to explain 〇〇〇”と始めたなら、その後の話者は全て”I”で統一しましょう。途中で”We”になったり”I”になったりいったりきたりするのはNGです。

なお、”I”と”We”のどちらを使えばいいかわからない場合は基本”We”で統一で問題ないでしょう。そのほうが様々な立場を表現できることが多いからです。私は基本的には”I”は本当に私のお気持ち表明、みたいな時以外は使わないようにしています。

話者を統一することによって、動詞の活用の差を意識する必要が減るほか、単純に話者が混在することによって文章が難解になるのを防げます。

時制を統一しよう

これは海外の学校ででessayを書かされたことのある人ならみんな経験があると思うのですが、ひとつのセンテンス・段落の中では原則同じ時制を使い続けましょう。

例えば、ある段落を”We are working on….”で始めたら、その後も基本的には話者もそれ以外のことも原則現在形で進めましょう。

もちろん、過去の話をするところは過去形でいいのですが、過去の話をした段落の中でいきなり現在形に戻るとかはなるたけやめましょう。

これにはスタイル以外の効果があります:単純に時制が混ざる文章は読みにくいし書きにくいのです。なので、文章を書く際には「これはいつの話なんだ」をまず意識して、その時制の中での出来事に統一しましょう。別の時制の話は別のセンテンスにします。

こうすることによって現在の事柄と過去の事柄は違うセンテンスに分離可能となり、難解な文章を構築する必要がなくなります。

能動態を使おう

能動態ではなく受動態を使ってしまうことが多いのは日本語話者に限らないことですが、なぜか日本語話者が英語を書くと受動態の文章が多く見受けられる、というのが私の経験上の意見です。

受動態はいわゆる通常SVOという構文になるべきところを OVSに入れ替えている状態と私は認識しています。

本来であれば”I ate the pizza”となって行動を起こしている「私」が「食べる」という行為を「ピザ」に対して行っているように記述するのに対して、”The pizza was eaten by me”と、「ピザ」が「食べられた」、誰に→「私に」という順番に変わるのが受動態です。

特にエビデンスはないのですが、個人的な心証では日本語はこの受動態が比較的問題なく受け入れられる、そのせいかそれをそのまま英語に使っていることが多いのではないかなと考えています。

受動態を使うことが常に問題となるわけではありません。ただし一般的に言って受動態のほうが構文が難しいためもともと英語が得意でない方は避けたほうがよいでしょう。下手な書き方をすると倒置法も混ざっていわゆるYoda-speak(スターウォーズのヨーダ語)になってしまいとても滑稽な文章ができあがってしまうことが多々あります。

解決方法としては受動態を見つけたら、まず誰が主体の文章なのかを考えて、可能ならシンプルな能動態の文章で言い換えられないか考えてみるとよいでしょう。

ひとつのセンテンスにはひとつの事柄を書こう

英語にはrun-on sentenceという概念があります。run-on sentenceにはいくつかの解釈がありますが、基本的に1文の中に複数の事柄が混ざってしまっている状態を指します。

例えば「私は今日忙しい」は”I’m busy today”となりますが、「私は今日忙しい、それでも同僚は全員パーティーしているのは、私だけ昨日の仕事が終わらなかったからだ」をそのまま英語にしようとすると”I’m busy today, but my colleagues are all partying, because I was the only one who did not finish the work from yesterday”となるかもしれません。

この二つ目の文章が間違っているかというと、口語なら問題がない程度には間違っていません。しかしそれぞれの話題は関連性はあるものの、三つの個別の事柄がひとつの文章に入っているのが問題です。

原則として一つの文章には一つの話題のみ入れるようにしてください

前述の複雑な文章のようにいくつかの独立した話題がひとつの文章にまとめられてしまうと、それぞれの文章の関係性や、意味合いの調整のためにより小難しい言い回しをしたり、正しい接続詞の使い方を考えないといけなくなります。

このような調整は不可能ではありませんが、英語がそれほど得意でないならなおさら頑張るところではないでしょう。前述の場合、素直に三つの文章で独立させるのが吉です。例の文章は”,”を”.”に置き換えるだけでほぼ完了ですが、もう少し調整が必要な場合、文章が分かれているほうが明らかに文章を調整しやすいとそのうち気づくと思います。

また、添削や読み直しを行う場合には、ざっくりルールとして

  • ひとつのセンテンス中にカンマや広義の接続詞(and, but, because, that, therefore…)が二つ以上出てきたら黄色信号
  • 特にひとつのセンテンスの中にカンマが二つ以上出てきたら限りなく赤信号に近い黄色信号

これらの現象が文章内に存在する場合は、文章を構成しなおしたほうが良いでしょう。ピリオドで文章を区切り、センテンスを分けて構築しなおすことでわかりやすい文章になるはずです。

シンプルな文章を書こう

ここまでのトピックをまとめると、すべて「シンプルな文章を書く事を心がけよう」というところに帰結します。

話者を混ぜないのは文章をシンプルにするため。時制を混ぜないのも文章をシンプルにするため。受動態を避けるのも文章をシンプルにするため。ひとつのセンテンスの内容を限定するのも文章をシンプルにするためです。

シンプルな文章を書けば間違いは少なくなり、より基本的な構文のみで複雑な事柄を表現できるようになります。英作文が得意でない人は、シンプルな英文を構築することにより、英語そのものよりそれを使って何を表現したいのかにより集中できるようになります。

もっとエレガントな文章を書きたい!という欲求もあるかもしれませんが、それさえもまずわかりやすい文章を量産できるようになってから覚えればいいことです。まずはとにかく書きやすい文章をすらすら書けるように努力してみるとよいかと思います!

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Daisuke Maki

Go/perl hacker; author of peco; works @ Mercari; ex-mastermind of builderscon; Proud father of three boys;